チョコ禍

火曜日、残業を終えて帰宅したら、ママタブがパパタブにコタツで添い寝していた。
パパタブは中国に赴任していて、旧正月にあわせて一時帰国をしていた。水曜の朝また旅立つので火曜は最後の日。
日本の戦後製造業の歴史を体現したようなパパタブの人生。貧困の中15才で就職し、夜学に通いながら働くうち、途上国の下請け町工場はやがて先進国の高品質な製造事業所へ成長、今日より明日はもっと豊かに、という前向きな日々の中、出世して行き、家族も家も手に入れた頃、海外への進出、台湾・中国への工場移転、英語を覚え、やがてバブル崩壊、製品のコモディティ化が進む中、日本で物を作る意味が薄れ、中国での生産を強化すべく赴任、せっかく孫ができたというのに。そんなパパタブを共働きしながら支えて来たママタブ。
旧正月で束の間の再会、別れを惜しむのか、胸に手を当てて添い寝。二人の姿に胸がいっぱいになった。
お茶でも飲もうと思い、静かにコタツに座り、前日にもらった義理チョコの包みを開ける。
空っぽだった。全部二人に食い尽くされていた。
きさまらあああああああああ!!!!!!