海の思い出

ウクレレ弾きだというのに海水浴にはほとんど行った事が無い。多分今までで5回くらい。もちろん海や浜辺にはそれ以上の回数行った事があるけれど、目的が潮干狩りだったり季節が冬だったり彼女が生理で泳げなかったりで純粋に海水浴をしたのはホントに5回くらいしかない。今年の海の日も結局海へは行かなかった。昼に電話で呼び出されて仕事をしてたし、そもそも海へ行く予定が無かった。
最後に言ったのは大学4年の夏、ゼミ仲間のユースフと。
ユースフも私もちょうど鬱屈とした日々を過ごしていた時期だったからだろう。気晴らしに二人で海にでも行こうと言う話になって、バスに揺られて近くの海水浴場へ行った。確か平日だったけれど夏休みだったためビーチは人で溢れていた。海の家に立ち寄るとおばさんが「安いよ、シャワー付きでたったの千円」と声を掛けてくる、金が無いので断ると「じゃあ500円でいいよ、もちろんシャワーはタダ」という。さっき「たったの千円」て言ったのはなんだったんじゃい。そんな突込みを小声で言い合いつつ、ユースフと私は砂浜で水着に着替えた。
浜辺から進入禁止の浮きがあるところまで3往復位した。時々魚に噛まれたり足をつったりしたが泳ぐのは楽しかった。砂浜に戻り水着の女子をぼーっと眺めていたら筋骨隆々の彼氏が睨んできたので、あわててもう一往復しに波間へ入った。ユースフも私も久々の水泳でぐったり。
着替え終えて携帯を見るとコトミーからメール「会社がつぶれて金が無い、どうしよう」「大丈夫かえ?ホントに困ってるなら貸すぞ」返事は来なかった。まあ、実際こっちも千円の海の家を断るような財政状態だったが。
スーパー銭湯で塩を洗い流し、ファミレスで割引券をフル活用し腹いっぱい洋食を食べた。俺たちが引退してゼミはどうなるのかなあ、それより自分たちの将来不安だよなあ、なんて話をしながら私の家に着く。なぜか異常に話が盛り上がり、二人で全裸になってデジカメで写真を撮り合った。夜21時くらいだったと思う。なんであんなことになったのか今でも意味がわからない。