法螺吹き道中

自他共に認める点なのだが、どうも私は宗教や思想などに感化・洗脳されやすい性格らしい。また傍目から見て「こいつは感化できそうだ」という様に見えるようで、街を歩いているとしょっちゅう様々な信徒、思想家に「ちょっとお話いいですか?」と声を掛けられる。困ったもんである。
ところが先日、そんな私が人を騙してしまうという椿事が発生した。騙された哀れな方は職場の新人、大学を出たばかりのみーさんである。

みー「巻きタブさん」
巻き「はい」
みー「巻きタブさんはウクレレできるんですか?」
巻き「ん、まあちょっと、ね」
みー「どんな音楽やるんですか?」
巻き「えーとね、ハワイアン」

うは、嘘ついてしまった。以前にここでご紹介したとおり、当方ウクレレ弾くくせにハワイアンはほとんどできない。そしてやらない。ではなぜハワイアンなんて答えたかというと、とりあえず無難だから。というのもみーさんは大人しくていわゆる「できる人」なかんじで、どっからどう見てもギターウルフファンやナンバーガールファンには見えない。だからいきなりここでパンクとかスキッフルとか言われてもみーさん答えに困るだろうし、こっちも説明に困る。仮に町田康ばりに「えーパンクと言うのはロックンロールという子供だましの音楽の中で最底辺に属するジャンルで」と説明してもドン引きされるのが関の山である。そんなわけで選んだ一番無難な答え、それがハワイアン。「あーハワイアンですか」ぐらいの回答で会話が終わるかなあなんて考えたのである。
ところが次に返ってきたミーさんの言葉で、私の法螺の虫がふつふつとわいてきてしまった。

みー「え、ハワイアンって何ですか?」
巻き「ああ、ハワイアン知らないの?」
みー「はいすみません、教えてください」
巻き「ええっとね・・・ハワイアンてのは・・・ええっと(法螺考え中)」
みー「はい」
巻き「ハワイアンって、そういう名前のパンクロックバンドがいるんだよ。正確にはザ・ハワイアンズ
みー「はい」
巻き「強烈なパンクバンドでさ、もうやること為すことむちゃくちゃなの。札束で満杯にした風呂で美女を侍らせたり、買いたてのポルシェをマンションの2階からプールに沈めたり、ドクター中松ホッピングシューズでジャンプして頭でライブ会場のヘッドライト割って血だらけになったり、とにかくすごいんだ」
みー「へえーすごいですね」

嘘ついてしまった、しかも大嘘。やってしまった。。
さらに悪いとには、みーさんは私の言ったことをを完全にに信じきってしまっている。ザ・ハワイアンズの演奏を聴きたいとか、私もウクレレパンクをやってみたいとか大騒ぎである。。
あわてて訂正したが、みーさんは納得しないような顔をしていた。
ハワイアンって答えておけばよかった。ううむ。