山の事故

今朝新聞で、遭難事故のニュースを目にした。
定年前の夫婦が遠出の旅で登山し、登頂後に遭難。携帯電話でのSOSを受け捜索活動が続いたが、甲斐なく夫婦は遺体で発見された。凍死だったという。
連休を利用して普段行けない山へ行ったのだろう。登りきった時の達成感――爽やかで静かな空気、体に染み込むチョコレート。仕事、生活、社会、うまくいかないあれこれの事がどうでもよくなるあの瞬間。ただ自分が生きてるってことだけで幸せだと思えるひと時。夫婦もその時を楽しみに登ったんだろう。なのに遭難してしまっただんて。凍え死んでしまったなんて・・・心が締め付けられる。
山に登るようになる前、遭難事故のニュースを見る度に思った「そんな、危ないってわかってるんだから登らなけりゃいいのに」。多くの人は同じ事を思っているのだろう。歳なんだし天気悪いんだし、やめときゃいいのに、と。
でも、違う。それは違う。きちんと下調べして、準備をして登れば山の危険は最小限に抑えられる。そして多くの登山者は遭難することなく頂上の感動を味わい、コーヒーを沸かし、歌を歌い、写真を撮り、そして街に戻ってビールを飲んでいる。
だから、山=遭難なんて思ってほしくない。もっと沢山の人に山に登ってほしい。田舎にはたまにいくからいいんだと言っていたあの人、都会に住みたいと言っていたあの人、山なんてジジくさいと言ったあの人、自然を偶像化せず自然の奥にある絶対存在に着目せよと街で言っていたあの人、山ばかりのところの飯はまずいと言ってばかりいるあの人。みんな山へ来ればいいのにと思う。今まで登ってきた山なら案内できるから。
明日、また登ろう。