ウクレレをはじめたわけ

ウクレレが趣味だと言うと時々「ハワイアンやってるの?」と訊かれることがある。ウクレレ=ハワイの楽器というイメージがあるから当然の質問だが、私の答えはいつも「いやぁ別に」である。すると相手は大抵「なんでこの人はウクレレやってるのにハワイアンやらないんだろう」という顔をする。それで会話が途切れてしまったりするのだが、実際ハワイアンは3曲ぐらいしかできない。それも教本に楽譜が載ってた超スタンダードナンバーだけ3曲。すみません、ハワイアン、特別好きなわけじゃないです。アルバム一枚すらまともに聞いたことありません。
そもそもハワイアンをやりたいからウクレレを始めたというわけではない。友人のアコーディオン弾きに楽器をやろうと誘われた時、当時の生活条件に一番適していたのがウクレレだっただけの話である。
当時私は隣の音駄々漏れの安アパートに暮らしていた。隣の男には彼女がいて、いろんな音が聞こえてきていた。コトを済ますと男はギターで19を歌った。そのギターの音が本当に嫌いだった。
そしてあんまり金がなかった。夕食を食おうと思ったら100円しかなく、おにぎりを一個買うかマカロニを買って家のケチャップを和えて食べるか、コンビニで真剣に悩むような生活だった。
「騒音が出ず、手軽に買える楽器」それが楽器選びをする際の最大の価値基準だった。いろいろ考えたが、アコギはうるさいので却下、エレキギターやキーボードは消音可能だけど高いから却下。そうして消去法を進めていった結果、最後に残ったのがウクレレだっただけの話である。だからハワイアンはほとんど聞いたことがない。
やりたかったのはハワイアンではなくロックンロール、今もその気持ちは変わっていない。というかジャンルはどうでもよくて、自分が楽しいなと思った曲を好きなアレンジでやる。ただそれだけ。ウクレレはじめてもうすぐ6年になるけど、その気持ちは今も変わっていない。