犬っころ

犬と一緒に山歩きがしたいなあと時々思う。麓から一緒に登って、疲れたら一緒に休んで、山頂で一緒にご飯。楽しいだろうなあ。毎朝早起きして散歩するのもいいよなあ。
けれど、実際に飼うのはずっとためらっている。
昔、雑種を飼っていた。柴犬と甲斐犬の雑種。茶色と黒の毛がごちゃごちゃに混じった犬だった。世間的な「美しい犬」ではなかったけれど、柴犬のかわいらしさ・人懐っこさと同時に、甲斐犬の凛々しさ・気高さを親犬から受け継いでいた。体が小さくて普段は寝てばかり、でもいざと言うときは自分より大きな犬にも怯まず向かう強さがあった。
骨折の後遺症や前立腺肥大を患いながらも、15年近く生きた。2002年の11月に老衰で土に還った。
死んでからしばらくは街で犬を見かけるのが辛かった。もう2度と犬は飼いたくないと思った。
あれから5年近く。時々「犬を飼いたいなあ」と動物商店へ行ったり、ネットの「犬譲ります」を見たりする。その度に「でも死んじゃうからなあ」と思いとどまる。日々この繰り返し。
そういえば昨日も犬を見た。運動場で携帯用の檻に閉じ込められ、くんくん鳴いていた。あまりにかわいらしかったので話しかけてしまった。無視されたけど。
どうしようかなあ。