中田選手の引退。

ファンとして追いかけていた人、毎日ブログを読んでいた人にとってどう映ったのか。それはわからない。ただ世論としては「惜しいけど、彼らしい引き際」というのが大勢。これはいいとも悪いとも思わない。メディアに現れる中田選手が、そういうイメージを生み出す存在であったことは間違いないから。
だけど共にプレイした人たちの反応は一体どういうことなのだろう?
カズ、中山を筆頭にほとんどの人たちが「個人の意思は尊重されるべきだし」とか「彼にもいろいろとかんがえるところがあって」と言い、引退を認める発言をしていた。確かに「本人の気持ちを尊重している」と言えば聞こえはいいのだけれど、しかし、だ。そんなに簡単に引退を認めちゃっていいのか?皆口々に「これまで日本サッカーを引っ張ってきてくれた」「第一人者だった」と言っているのに「だから、まだやめて欲しくない!」と本気で、感情を込めて話す選手が1人もいない。皆、「そうですね」に始まり、「と思いますけど」で終わる、サッカー選手独特のあの喋り方でしか談話を出していないのだ。なんというか、「あ、ヒデやめるんだ。あ、そう、まあ本人の自由だよね」という言葉ばかりである。誰一人として「あなたが必要なんだ、サッカーを続けてくれ!」と訴えるチームメイトがいないじゃないか。「日本を引っ張ってきた名選手」と一緒にサッカーを続けたいと訴える選手が出てこないじゃないか。
本気で辞めるなといっていたのは、かつてのセリエAでのチームメイトの一部ぐらいである。デルピエロは「辞めるなって電話するよ」とまで言っていた。中田選手がイタリアで受け容れられたのは、互いの求めるサッカーのベクトルが同じ方向だったからなのか、単に中田がヨーロッパ贔屓だったからなのか、それは知らない。いずれにせよ海外には、一緒にプレーした選手の中に、心から「辞めるなよ」と言っている人がいる。一方で日本には一人もいない。

日本代表のチームメイトだった人たちの中に、翻意を懇願する選手が誰一人現れないことが、中田選手の孤立(孤独ではない)を如実に顕然化させているような気持ちがしてならない。誰か、言えよ「一緒にサッカーやろうよ!」って。