大人になるとわかること
「肉体は一日でも若返りたいけれど、頭の中は一秒足りとも若返りたくは無い」
この言葉を読んでから、リリーさんのファンだった。いや、嘘。本当は、「ポラロイド買ったら、男なら一番初めに自分のちんちん撮るでしょう。それをやらないということ自体が、何か欠落しているような気がする」て言葉からのファンだ。それはそれとして。
- 作者: リリー・フランキー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/06/28
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 445回
- この商品を含むブログ (1391件) を見る
おふくろの行動はいつも不思議だった。ナポリタンさえあれば何もいらないのに、畑で採れたトマトを出したり、変なサラダを作ったりする。それは大抵残って次の日の朝に出た。作らなきゃいいのに、と思った。
レストランではビーフシチューを注文する。おふくろは体が小さいからそれだけで十分足りるはずなのに、なぜかフライドポテトやサラダをたのむ。僕がマカロニグラタンを食べ終える頃、案の定おふくろは残してしまう。そして僕に食べていいよ、と言う。注文しなきゃいいのに、と思った。
いつからか、ナポリタンもマカロニグラタンもご馳走ではなくなった。ナポリにナポリタンはないし、マカロニはご飯のおかずではない。そんなことがわかるようになった。そんな今になって、おふくろが何故あんなにたくさんトマトを切りつづけたのか、よくわかる。なぜ余計に注文していたのかも、よくわかる。今になってよくわかるから、悲しい。
そんなことを思い出させる本でした。