ジンジンジン♪ 政治とジンで 村井仁♪

歌舞伎酔狂のOL、パニー氏からのオファー。
「JINがね、話をしたいんだって。会わない?」
JIN・・・アンニャロー。
JINは都会人臭い。JINはおしゃれだ。JINはアサヒよりキリン。JINはバンドでボーカルをやるほど歌が上手い。JINは趣味がいい。JINは顔がギリシア系だ。JINは背が高い。JINは痩せている。JINは知的な声質。JINはラーメン通かつパスタ通。JINは自分の彼女を「ガールフレンド」と呼ぶ。

JINは村上春樹をよく読んでいて、聞けば何でも答えてくれた。いろんな本を沢山読んでいたらしく、やれ宮台真司がどうした、やれ東浩紀が何と言ってた、やれ吉本隆明がどうしたなどなど、トレンディな思想家のことを、Cという友達と色々話していた。二十歳そこそこ、思想について語りたい盛り、私も負けじとその議論に参加しようとしたものだが、アテ違った発言ばかりしていたに違いない。
JIN「ロッキンオンばっか読んでると滅入るよね?」
C「あれこまっちゃうよなー、ねぇ?」
私「うんうん」

JIN「サン・テグジュペリの『夜間飛行』さ。すごく良かったよ」
私「へえ読んだんだ」
JIN「『星の王子様』とは全然違うんだよ。いやああれはすごい作品だよ」
私「うんうん」

ロッキンオン、当時は愛読書でした。宮台も東も吉本も読んだことありませんでした、てか、まだ読んだことありません。『夜間飛行』読んだけれど、あんまりクるものはありませんでした。

僕のわからない次元で話すJIN。JINの話すことに頷いてはいたけれど「なんとなく、違うんだよなあ」と思っていた。でも「なんとなく」の内容はよくわからなかった。わからずにモゴモゴしているうちに、JINはどんどんCと話を進めていた。

違和感はあった、やだなあと思った。でも同時に憧れてもいたんだな。JINみたいになれたらいいなと思っていたし、JINみたいな人間に相手にされていることが嬉しくもあった。

もう3年近く会っていない。JINは就職したらしい。懐かしいな。

うー、でも気に入らない。アンニャロー。
オヒタシにしようと買ってきたほうれん草をソテーにされたこともあったな。

「で、JINの話はどうする?」
パニーが続ける。
「うん、いいよ。僕も会いたい」

そんなわけで、近々会う。
まだ向うの承諾を得てないけど、話した内容はここに載せるつもりです。