ウクレレと湿気

さてさて今日は湿気の話。楽器を海外に持ち歩く時移動の次に気をつけなければならないのがこれである。その理由は「木」にある。
ほとんどのウクレレ「コア」あるいは「マホガニー」という材木でできている。それ以外の材質のものは変わり種といった雰囲気が大きい。事実、音も微妙に変わってくる。手持ちのUke-Solidもそんな変種のひとつ。仕様書きによるとメープルの木でできているらしい。もっともこいつは共鳴板が無いのであまり音に影響は無いのだけれど。
閑話休題、湿気の話。日本と違ってシリアの大地は非常に乾燥している。特に夏、滞在先のアレッポでは湿度が10%を越える事はまずない。雨が全く降らないのである。湿度60%超の日本から乾燥大地のシリアへウクレレを持っていくとどうなるのか?
それは木の性質を考えるとよくわかる。木は空気中の水分を吸収する。そのため湿度が高ければ高いほど多くの水分を吸収し、結果膨張するのだ。反対に水分がなくなれば乾燥し収縮する。昔ガチャガチャでよく売っていた「水に入れると巨大化する恐竜」みたいなもんである。「え、じゃあシリアではウクレレが手のひらサイズになっちゃったりするの!?」んなこたあない。問題はチューニングにあるのだ。乾燥でウクレレ中の水分が発散されることにより、ペグの差し込まれている穴が若干広がって大きくなる。そのためペグが弦に引っ張られ、弦が緩みやすくなってしまうのだ。もちろん日本でも夏と冬で湿気に変化があるから同じような問題がおこる。とはいえ漸進的な変化だし、湿気だらけの日本からカラカラのシリアへの移動に比べたら大した差ではない。本当にユルユルになってしまうのだ。
対策は簡単である。ペグの頭についてるネジをちょっと締めてやればいいだけの話。だからウクレレと一緒の旅行ではドライバーあるいはそれに順ずるものが必要だ。旅先でそのためだけに買うのは面倒だし変なドライバヘッドでネジを狂わしてしまったら仕様も無い。ウクレレにぴったりなドライバーを準備しておくべきだろう。
ただし飛行機旅行の場合はスーツケースに入れること。機内持込だと危険物として没収されかねないので。