親分の放埓な魂の遍歴

Maktab2002-06-21

Dr.Feelgoodの解説サイトを発見。
全アルバムのディスコグラフィー、解説、略歴なんかが載っている。ううむ、素晴らしい。
http://beat-net.hp.infoseek.co.jp/feelgood/index.html
パブにおける彼らのパフォーマンスは群を抜いていたという。ウィルコ・ジョンソンの切れ味鋭いギター、そこに乗っかるドスのようなリー・ブリローの野太い声、あっという間に彼らは時代の中心になる。特にウィルコの演奏スタイルはパンクの引き金になったらしい。
ところがあまりに繊細なウィルコはブリローによってクビにされてしまう。ブリローはじめ他のメンバーはセンセーションの中にいるより、のんびりと自分たちの音楽を楽しむ道を選んだ。その後はチャートから遠ざかる反面、常に平均点の高い作品を出しつづけ、マニアックなファンが定着していく。いわば「最強のB級バンド」となった。
ウィルコ以後、バンドの中心はブリロー親分。幾度となくメンバー脱退・入れ替えに見舞われながら、次第に独裁的な編成を組んでいく。ついには自分以外の全員が辞めてしまうのだが、それでも新たにメンバーを集め再結成。最初に作られたのが「Doctor's Order」、僕がはじめて聞いたアルバムだ。この作品、上のWebサイト作ってくれた人の評価は低い、ウィルコ時代の緊張感もない、でもこれで一気にファンになった。どういうことだろう。ベスト版を聴くと、Webサイトの言う「暗黒時代」も嫌いじゃない。B級っぽさが好きなのか、翻って、オーセンティックなものを素直に認められない天の邪鬼な性格のせいか。格段に評価が高いのはなんといってもウィルコ在籍時で、それは彼自身への高評価という面が多分に含まれている。確かに「Down by the Jetty」の緊張感はすごい。でも僕はその後長年続くブリロー・ワンマン時代のゴキゲンな感じ、これもかなりいいと思う。「暗黒時代」はその極みだと思うけどな。
自分の気に入った音楽をゆったり楽しむ、っていうスタイルがいいのかもしれない。緊張感があるのはそれはそれでカッコいいけど、ノロノロしてるのも悪くないのだ。

ようやくバンドが再び軌道に乗り始めた矢先、ブリローは癌で死の宣告を受ける。病をおして行なったコンサート、歌い終え彼は言った
「God bless you」
その後間もなくしてブリローは亡くなる。志半ば、僕がフィールグッドを知ったのはそれから5年も後のことだ。でも親分の独裁は孤独ではなかったみたいだ。Dr.Feelgoodは彼の意志を継ぎ、今でも活動中だから。

ダウン・バイ・ザ・ジェティー

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