壁の先に待ってた風景

寝不足とバックパックに詰め込んだ缶ビールの重さでヘトヘトになりながら蝶ヶ岳に登った。ふもとは紅葉の秋、森林限界を越えるころには霜柱。
登りきった頂で待っていたのは、

無い!妥協が、無い!
8月から何度も山に登り、何度も達成感とおいしい空気とラーメンを味わい、そして、谷の向こうの槍ヶ岳に圧倒された。今回も、また、然り。

 
その圧倒的な存在感に
 


 
心が躍る。体も踊る。
 

 
武藤も思わず槍に向けLOVEポーズ。
 

 
いつものようにロープの張りを確認。背景には常念岳
 

 
んっ?
 

 
何百年も前、播隆上人はここ蝶ヶ岳から槍を目指し、5度の登頂を果たしたのだという。今のような装備も無く、登山道まで車でいけるわけでもない時代に。しかもただ登るだけでなく「次に登る人のために」と命綱を取り付けたのだとか。
今、上人の拓いた道は途絶えてしまって辿るべくも無い。けれどヘトヘトになりながら蝶から眺める風景が、その足跡の偉大さを教えてくれているようだ。背筋を正さずにはいられない。
って、武藤やってる人間の台詞じゃあないですね。

谷の向こうの冬がもうすぐこっちにもやってくる。しばらくこことはお別れだ。春を待とう。蛹みたいにじっと。そんで、来年は槍に登ろう。