月の猫

sei---i--chiさんが拙作『月の猫』をカバーしてくれた。

うわあ、こりゃいいや!
この曲をカバーしてもらってめっちゃくちゃ嬉しかった。というのも実はこの曲、『フル・ボリューム』の中ではかなーり思い入れが強いのだ。
学生時代シリアという国に半年ほど住んでいたのだが、研究も語学も異文化での生活にも行き詰ってどうにもならなかった時期があった。
食事作る気もなくなったので近所の鳥の丸焼き屋で半羽分買って一人で食って、余った骨を野良猫に挙げて懐け時々家にあげて戯れていた。
国営放送しか映らない中国製の白黒テレビ観たり、大八車で売ってるザクロ買って貪ったり、現地の学生からしきりに「奨学金で俺を日本への留学生に推薦してくれ」といわれたりの毎日。
イスラームからの勧誘に疲れて日本から仏教書を取り寄せ、禅のいう「無」について思いを馳せてみたり、
日本の昔の労働歌は良いなあと思ったり。
本当は研究やらなきゃいけないのにダメだよなあ、日々パレスチナ情勢は悪化しているってのに、自分は何もできていない。日々金を食うばかり。同世代の友人は皆就職している。こちとら、高い志を吹聴して海外へ来たが、その実日本と変わらぬ穀潰し生活、頼りといえば親の金。
野良猫との戯れ。本当は狂犬病があるからあんまり触っちゃいけないんだが、孤独な海外暮らしではせめてもの慰みだった。あーあ、僕はこの猫と一緒でいてもいなくても誰も困らないのかなあ、
なんて思いながら作った曲である。

こんな気持ちが伝わるのか、この曲をいいと言ってくださる人とは必ずお友達になれている。ピース!