姉、結婚

姉が結婚した。
都心にある小さな教会で誓いをした。
姉は純白のウェディングドレスに包まれて眩しかった。
いつも頼りなさげだったお人よしの「姉ちゃんの彼氏」が、たどたどしくも凛々しい新郎になっていた。
神父が跪いて主へ祈りを捧げ、愛の偉大さについて説き、二人に誓いを問うた。二人は声をそろえて誓った。パイプオルガンが響き、外は曇っていたはずなのに陽光が指す感覚を覚えた。
披露宴。
父が姉に詩を贈った。知らない詩人の知らない詩だったけれど、娘を送り出すのにふさわしい、とても美しい詩だった。兄貴にマイクが渡された。普段無口な兄が、ストレートに伝わる言葉で祝福を述べた。私はこの歌を贈った。母は泣いていた。
最後に姉が両親へ向けて手紙を読んだ。姉らしい、強さと思いやりのある言葉だった。
朗読の後、姉が父に抱きついた。父が感極まって泣いた。昨日家を出る時「あれかなあ、結婚式ってのは泣くもんかなあ」なんて言っていたのを思い出した。
涙が止まらなかった。こんなに素晴らしい瞬間が人生にあるなんて!
生きていて良かった、これからもずっと生きていこう。本当にそう思った。悲しいこと、つらいこと、自分が願うのとは違う方向に進んでしまうことがある。後悔もある。運命を受け入れられないで苦しむこともある。
けれど笑顔で生きていこう。素晴らしい瞬間は必ずあるから。
姉ちゃん、結婚おめでとう。いつまでも幸せに。