ちょっぴりの後悔

思わず体が動いてしまう音楽を聴いたり、大好きな本を読み返したりするのが好きだ。そして自分の大好きな本や音楽を、大切な人にも共有してほしいと思うのが人の心。それは流行のSNSを見てもよくわかる。
でも大事なことがひとつだけある。相手の反応は、決して自分の思ったとおりにはならないということ。そして相手の反応は、自分が思っているほど大きくはなく、時には無反応でさえありうるということ。

パーフェクト ワールド [DVD]

パーフェクト ワールド [DVD]

半年ほど、カージェという人と同棲のようなことをしていた。ディズニー映画の好きな彼女が「す巻きはどんな映画が好きなの?」というので見せたのがパーフェクト・ワールド。脱走中の服役囚と誘拐された子供の友情を描いた作品で、「ジェットコースターに乗るのはアメリカの子供の権利だぞ」という台詞が印象的な作品。
作中、自分の孫に暴力を振るう農民に対し、主人公の服役囚が「子供を殴るな!」と銃を向けるシーンがある。狂気なまでに銃口を向けるこの場面はこの作品のハイライトのひとつでもある。「いいシーンだなあ」と私が見入っていると、カージェはむくっと起き上がり、頭をブンブンさせた。
カージェは寝ていたのである。
悲しかった。仕方なく電気を消して寝た。カージェも寝た。
Down By The Jetty

Down By The Jetty

いろんな人に聴かせ「いいだろ〜これ!」と言ってるんだけど、誰一人として反応が無い。何なのだろう。
THE BIG HIP

THE BIG HIP

ザ・ビッグヒップは、元ブルーハーツのドラマー梶君と元ハイロウズのピアニスト白井さんが二人だけで結成したバンドである。ある日HPでライブの告知を見ていたら「○月○日 スペシャルゲスト登場!」の文字が。あっこれは間違いなく真島昌利が来るぞ、そういう噂が前々からあったからなー。と、俄然行きたくなったのでナタリーを誘ってみた。するとナタリー
「その日って○○の記念日だよ。だから△△へ行こうよ」
私は一生懸命、梶君とマーシーのセッションがどれほど貴重であるか、白井さんのピアノがいかにすごいかをナタリーに力説した。だが、結局○○記念日の方が強かったのである。I fought the law and the law won.○○がなんの記念日だったか、△△がどこだったか、今となってはとんと覚えていない。ただ、ビッグヒップが観たかったという記憶だけが残っている。

カージェにも、ナタリーにも言われたことがある。
「あなたが何を考えているか、いつもわからない」
今なら僕はこういうのだ。パーフェクト・ワールドが観たい。ビッグヒップのコンサートに行きたい。ドクター・フィールグッドでゴキゲンになりたい。

今さら言っても仕方ない。電気消して寝るわ。