ぽっかりんこ

気まぐれ、衝動的行動は生来の性質である。だけどここ最近の言動が自分でもよくまとまりがつかない。今日は頭の中でつげ義春の「夜が迫ってくる」という作品、特に最後のページで、うつぶせしている男の足を「夜」が窓の外から手を伸ばしてひっぱり、男が「うわーっ！」と叫んでいる図、こればかりが頭に浮かんでいた。そのせいなのか上司に面と向かって「暇です」と言ってしまった。「君にはもっと積極的にやってほしい」と至極まっとうで愛情のこもった指導をしてくれた上司。もうはずかしくて、トイレでぐわんぐわんと顔を洗った。背伸びをした。
「こんばんは、筑紫哲也れす」という挨拶がテレビから聞こえてくる頃、会社を出て携帯を開いた。そこにはクロマニヨン人の目撃情報のイラスト、最近変えた壁紙である。メールも着信も無い。くぬ、からっぽだ。未受信メールを呼び出す、「未受信メールはありません」の文字、またクロマニヨン人の画面に戻る。歩いて駐車場へ、乗車して携帯開く、無表情のクロマニヨン人がこちらを見ている。信号待ち、携帯開く、クロマニヨン人。渋滞、開く、クロマニヨン、帰宅、開く、クロマニヨン、風呂、開く、クロマニヨン、飯開くクロマニヨン、Blog開くクロマニヨン、寝る前開くクロマニヨンきっと起きたらクロマニヨン。こっこっこ、コハイカニ！ピクリともしないクロマニヨン人とにらめっこし、ああぽっかりんこ。何をやっているのか、このままでよいのかたった一度のこの人生、なんつって。ぽっかり、ぽっかり、ああいかん、夜が、夜が迫ってくる。うわーっ！