梅雨嫌いはこの国から出て行け

馬鹿じゃないかと思う。この時期になると、猫も杓子も、やれ毎日じめじめして嫌な季節だ、やれ気分まで鬱になるだ、やれ6月は祝日が無くて疲れるだと好き勝手ぬかしやがる。そんなにこの季節が嫌いならしばらく外国に行ってしまえ。
だいたい、百姓にとっちゃこの季節の雨は大きな恵みなわけだ。この雨で草木が育って夏に秋に実を結ぶ、果たしててめぇらの腹も俺の腹も大満足。それを理屈じゃあわかってる癖に心じゃ能く理解せ不、ってもんだから、やれ洗濯物が乾かないだ、やれ部屋がかびるだ、挙句の果てに、「百姓ってのは差別用語だから農家と呼びなさい」なんて知ったような事言う。なーにょ言ってやがんだこの都会かぶれ、こちとら自称が百姓、うちは百姓だで、週末は百姓やります、てめぇでてめぇを百姓と呼んだら、そりゃ差別じゃなくて謙遜ずらで、謙遜、ニッポンの美意識ってえやつ。日本の伝統を守って何が悪いってもんですよ。
それから、あんたたちゃそんなに晴れの日が好きかい?曇り空や雨の日は嫌いかい?ばんばんの紫外線の下、日焼け止め塗りたくって、アバーヤみたいな服着て、ノッポさんみたいなシャッポして、それでも晴れが好きなのかい?雨が降れば、広島市民球場は水浸しだよ?大好きなドラマが30分遅れたりしないんだよ?それでも晴れの日が好きかい?
雨の日はいいんだよ、外でサッカーできない。だからサッカーの下手な子が、コーチやチームメイトにいじめられなくて済む。家から出ないで、本を読みながら紫陽花を眺めていられる、牛乳パックで工作ができる。下手クソとか動きが鈍いとか生きてる資格がないとか、そんな事を言われなくて済む。その代わりにクレヨンで線路を書いたり、時計を分解したり、笑点を見たりできる。だから雨の日はとっても素敵だ。この季節は楽しいんだ。
そんな6月の趣がわからない馬鹿は、この国から出て行け。渡航費用が無いんだったら稼げ。稼げないんなら、文句言うな。
6月はとっても素敵で、思い出が詰め込めて、いい季節だ。「パッとしない天気が続いて」とか知ったような口利いて、邪魔するんじゃない。