グリセリン・クイーン

ライブで一緒に歌っていた忌野清志郎と、『夏の朝にキャッチボールを』を提供した川村カオリと、大好きだったプロレスの三沢光晴と、共にDr.Feelgoodをルーツに持つアベフトシと、憧れのストゥージズのギタリストであるロン・アシュトン。今年、クロマニヨンズの周りでは沢山の人が逝った。
彼らに対してクロマニヨンズは歌でメッセージを送るんだろうか?たぶん送らないんだろうなあ、送ってもそんなことは言わないだろうし。なんてことを思いながら新作『グリセリン・クイーン』を聴いた。

やっぱり彼らは今を全肯定して歌った。ギターを買いたてのガキのままで、目の前のオムライスが好きで、歌っていた。
クロマニヨンズは亡くなった清志郎を伝説にするんじゃなくて、清志郎がライブで歌い踊る全ての瞬間を興奮して観ていたし、追悼ライブではなく歌い続けていた川村カオリに歌を提供した(もしかしたら毎週夜中のプロレス番組で興奮してたかも)。
そして自分たちが歌うときも、今が最高点と感じながら歌う。それは25年前「リンダリンダ」を歌って頃からずっと変わらない態度だ。
三沢光晴アベフトシの訃報を続けざまに聞いたとき、人の死で感じる喪失感は、ただただ「自分は生きていくしかないんだ」と思うことでしか紛らわせないのと気づいた。少なくとも僕の場合は、だ。ちょっと格好付けすぎかもしれないが、しばらくの間「あの人が生きているうちにやっていたように自分もやろう。遺志をうけついで生きよう」というようなことを考え、喪失感の穴を埋めようとしてきた。
だから今『グリセリン・クイーン』のこの言葉は、重い。

 グリセリン・クイーン 生きているうち できることは なんでも
 グリセリン・クイーン やってしまう 毎秒が伝説


やっぱりクロマニヨンズはすげぇなあ。またライブ行こう。
そんでもって自分も、常に最高だと思いたいな。