実録:ウクレレピクニック08

(昨日のウクレレピクニックの様子をレポートします。長文失礼)
●其の一
9日朝、関内の宿を後にし、横浜から東洋一のファンキートレイン・京浜急行の特急で三崎口へ向かう。相変わらずものすごいスピードだなあこの電車。
三崎口でバスを待っているとda-imaくんとMιτζμяμлちゃんと遭遇した。da-imaくんはウクレレ奏者・キヨシ小林さん主催の「ジ・ウクレレ・オーケストラ・オブ・ジャパン」に所属していて、今日も演奏するとのこと。レノンハウスではいつもゾクゾクする演奏をさせてくれるだけに、楽しみ。
バス停もすでにたくさんの人、人、人。そのほとんどが「これからウクレレピクニックに行きます」然とした人だ。なぜならほとんどの人が麦藁帽子、アロハシャツ、ハイビスカス模様のバッグ、片腕の長さほどの楽器ケースを持ち歩いてるからである。
バス停の時点で期待に胸が張り裂けそうになった。
漁村(といっても結構街だけど)の曲がりくねった道を抜け、ソレイユの丘へ。
既に何百人もの人が集まっていて野営用の天幕を張ったり敷物の上で麦酒を飲んだりしていた。本ステージの周りにはウクレレウクレレグッズ、ハワイ案内などの露店が軒を並べていて人でごった返している。どこへ行ってもウクレレウクレレウクレレ
うわあ、こんなにいるんだウクレレ好きって。
店をぐるりと覗く。まずはCD店、絶対買おうと思っていた一枚を早速購入。それから隣のお店でウクレレピクニック・オフィシャルTシャツを買った。このウクレレピクニック、入場無料で運営費用は有志からの出資とグッズ販売で賄われている。だからTシャツ買うのもカンパの一部なのだけれど、あまり「買ってあげる」という気分にはならない。このデザインを見たらその理由はよくわかっていただけると思う。
いくつか楽器にも触らせてもらう。MartinやらKamakaやら、ウクレレ好きなら思わず触らずにはいられない銘品が並んでいて、どの店でも気軽に触らせてもらえた。楽器屋だと恥ずかしくってなかなか触らせてもらえないのだけれど、ここだと不思議と手に取れる。
タカハシウクレレ工房さんの店でウクレレを手に取った瞬間、ウクレレ好き特有のあの患いを発症してしまった。手に取ったウクレレ、パシッと体に馴染んで、繊細できれいな音がポロロローンと響く。選びこんだ素材と妥協の無い作りが腕と胸から体にじわじわ伝わってくる。一発で気に入ってしまった。そう、発症したのは「ウクレレ欲しい病」である。むらむらむらむら・・・い、いかんいかん!礼を言ってそそくさと立ち去る。後ろ髪はプロレスラーが倒れた相手を起こすとき見たいなやり方で引っ張られた。鉄の意志で歩く、歩く。
da-imaくんはリハーサルに行ってしまったので、Mιτζμяμлちゃんと二人で自由参加型のステージ、ウクレレ・ラバーズを見学。主婦ウクレレサークルのカイマナヒラから超絶テクニークの少年まで実に多彩な出演者の演奏を聴けた。いやあ、ウクレレというのは本当にいろんな人がいろんなスタイルで楽しんでいるんだな。改めてこの楽器の持つ間口の広さ、ゆるさ、そして可能性を実感した。来年は是非このステージに立ってみたい。
お昼ごろ遊の字さんと合流してウクレレ・オーケストラ・オブ・ジャパン鑑賞。このオーケストラ、ウクレレだけ40人超で途中ソロも交えつつ『イン・ザ・ムード』『茶色の小瓶』とスウィングのスタンダード・ナンバーを披露してくれた。ロックンロールを知る前は何を隠そうグレン・ミラーのファンだった私にとっては嬉しくってたまらない選曲。そしてda-imaくんはいつものクールな表情でオーケストラの音に混じっていた。
炎天下、好きな曲、ウクレレ、片手に麦酒。なんて幸せなんだろう。乾杯!

●其の二
ウクレレ・ラバーズ終了後、私を呼ぶアナウンスが鳴った。
『仮装ウクレレパレードに参加される方、本部前にお集まりください」
さあ俺様の出番だ!行かねば、いかねば!バッグに忍ばせたライダージャケット、グラサン、ジーパン、長州小力のヅラを大急ぎで装着し遊さんに荷物を託して本部へ・・・
んっ?本部ってどこ?暑苦しい格好で彷徨うウクレレパンク。
ようやく本部らしいところ―テントがあって回りに被り物した面々のいる場所―に到着。んっ?人数が少ないな・・・しかも私以外はみんな知り合いらしい。いきなり浮きまくるウクレレパンク、額の汗は炎天下のせいか。
ステージからパレード開始の声がした。あれっ?始まるの?みたいな感じで歩き出す。ベートーベンの「第九」を演奏しながら練り歩くということになってたのだが誰一人として弾いていない。当たり前である、誰も指揮する人がいないんだから。
そんなぐでんぐでんの様子を察してステージからは「あれ?去年よりもあきらかに人数減ってますよ?」「誰も弾いてません(笑)」と必死で盛り上げようとする声。しかしながら一向に湧く気配のないままぐでんぐでんの行列は続く。昨日の出張にはじまり、関内からここまでの道のり、重さを厭わずに運んできた荷物のほとんどは仮装パレードの衣装だった。このパレードに賭けてきた。ウクレレパンク、顔に流れているのは汗か涙か。
ステージ前にたどり着くとウクレレえいじさん・関口和之さん・IWAOさんからの品評。ここでえいじさんに声をかけられた。
え「こちらの方はなんですか?野坂昭如みたいになってますけど」
巻「・・ぱ、パンクロッカーです!」
え「び・・・微妙ですね〜!!」
2008年夏、ウクレレパンクは闘った。炎天下と長距離移動と恥、すべてに立ち向かい、そして矢折れ刀尽きた。合掌。※(写真は後日掲載します)
ぐでんぐでんなパレードが終わり、いよいよプロのステージ開始。トップは17歳のウクレレ奏者、平井大さん。ジャズやヒップホップを練りこんだステージで会場を湧かせていた。エネルギッシュなサウンドは若いならでは、それでいて洗練されている印象をうけた。これからどんどん活躍の場を広げていくのだろう。期待したい。
そして次は、待ってました、ウクレレえいじショー!遊さんと二人ステージのまん前に陣取り鑑賞。
名優・志村喬に始まり、フランス語の高倉健、思わず本音を言っちゃう舞の海などなど、わかりにくい
物真似のオンパレード!なのに会場は僕ら含め爆笑の渦に包まれていた。たぶん会場にはえいじさんの物真似を機に志村喬の出演映画を観た人、50人くらいいたと思う。なぜ50人か根拠は無いけど。
嬉しかったことがひとつ。「今日は暑いですからみなさん、お水たくさん飲んで、帽子しっかり被って・・・」というMCをはじめたところで遊さんと私、手に持っていたペットボトルと被っていた帽子をえいじさんに向けて振りかざしたところ、えいじさんから「ほほっ・・・ボーイズ!」と反応が!うはぁ、小用粗相しまいそうだった。
えいじさんのあとはキヨシ小林さんのステージ。えいじショーですっかり暖まったステージをクールな独奏できりっと引き締めた。がやがやしていた会場がキヨシさんの演奏に集中した。何千人もの人が観ている会場の雰囲気をウクレレ一本でがらりと変えてしまう、それでいて表情一つ変えずにハイレベルな演奏を続けるキヨシさん。ニヒルである。いいものを魅せてもらった。
さて、遊さんと私はここでステージを後にし、CD売り場へ移動した。私は朝一で購入したCDを片手に列に並び順番が来るのを待つ。
列の先にいる人、
それは、
えいじさん!
実は先ほど買ったのは8月6日にリリースされたえいじさんの初CD『ウクレレ番外地』である。ジャケットにサインしてもらうべく並んだ次第。
緊張したけど思い切って会話してみた。

巻き「僕、えいじさん大ファンです」
え「うわぁーありがとうございます!そういう人ほんっと少ないんでもう、よろしくお願いします!!」
巻き「あの、さっき、ウクレレパンクロッカーやってた者です。『野坂昭如みたい』って言ってもらえて嬉しかったです!」
え「おおー!いやあありがとうございました。僕ね、個人的にはああいうの好きですよ。」
巻き「ありがとうございます!あの・・携帯電話で申し訳ないんですけど写真良いですか?」
え「もちろんもちろん!」

巻き「ありがとうございました!」
え「ありがとうございます!また来年も仮装しにきてくださいね!」
巻き「必ず行きます!!」

えいじさん、いい人だあ!
これからもずっと応援していきたい。

さてさて、最期に、
会場近くで遊さんとセッションした。CKBの『GT』

春先に「一緒にやろうよ」と声掛け合って遂に実現したCKBセッション。ずーっと一日ウクレレを観ていて居てもたってもいられなくなっていたので、ふたりともテンション高い。
あとで聞いた話だが、遊さんはこの日体調不良だったとのこと。ずっと元気に見えたから一緒に居る間は全く気づかなかった。気を使えずに申し訳ないです。
さんざん楽しみ、帰路についた。
やっぱりウクレレは楽しい。7月21日の水戸に出られなかったことで落ち込んでしまって、しばらくウクレレに身が入らなかったのだけど、また楽しくやっていけそうだ。ウクレレと、ウクレレがつないでくれたすべての人に感謝!
帰りの電車は1時間遅れだったけど、そんなことはどうでもいいのだ。ピース!

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