中畑清へのルサンチマン

とある友人に「バンドやらないかえ?ウォッシュボードかメロディオンやらんかえ?」とメエルで呼びかけたところ、真夜中に下記の通り返信が来た。
「ワラワは間もなく東京へ嫁ぐ身にござります。さすればこちらへ戻る機会も少なくなり間する故、タブ殿との頻繁なるセッションは難しゅうござります、ニンニン」
むむっ、標準語!く、くっそう東京め!ですます調め、ふんぬーっ!憤怒。怒りのあまり部屋を出て街路でギターウルフを歌いたい気分になったが、ここは出張先、治安が悪くて怖いし興奮のあまり道に迷ったら困るのでやめておいた。
そうか、結婚して上京するのか・・・。10年来の付き合いがある人なので嬉しい反面、寂しさも半分。
実はこのところ知り合いの結婚が続いている。過去2年で6組、今回の友人含め今後1年以内に2組。
年齢を考えると当たり前っちゃあ当たり前なんである。学校出て就職して貯金して、区切りのいいところで結婚、あるいは区切りをつけて結婚。決してみんなこんな風に順調なわけではないだろうけど、事実としては8組の結婚。
一方の私、20代前半でプー太郎同然の暮らしをしたり数年単位で組織からの逐電を繰り返した結果、未だに川原でジムニーの後部座席に乗り「あばばばばばーっ!」と叫んで喜ぶ生活を張り切って継続中である。そりゃ焦りますよ。
子供の頃、24歳くらいで結婚しようと思っていた。理由は当事好きだった読売巨人軍中畑清選手が背番号24だったから。時々会社で上司に注意される理論の飛躍癖は、どうやら子供時分からあったようである。もし好きな選手がクロマティ(49)とか門田(00)だったら一体どうするつもりだったのだろう。いや問題はそこじゃないんだが。
ところが理論の飛躍も捨てたものではない、どでかい嘘をつけば本当になる、24の時に「この人と結婚しよう」って人ができた。私はその人に感謝してもしきれないほどたくさんの思い出をもらった。とても幸せだった。けれど2年しか続かなかった。彼女の夢と私の生活に接点ができなくなって、さよならした。
飛躍した理論には結局根拠がないから、やがて破綻するのである。私は恨んでいる、中畑清を。
夜も明けてきた。朝の町は平和だ。昔のことを思い出して感情が高ぶったので、勢い街路で「クロマニヨン・ストンプ」を歌いに行きそうになったが、なんとか思い止まった。そろそろ髯剃って会社行く準備しなくちゃ。