過酷な幻実

最悪である、また仕事の夢を見た。「また」というのは、一昨日の夜も見たからである。
仕事の夢というのは大抵うまくいっていない状況の夢である。日曜日は通いなれた事務所の移転が決定し、なぜかまだ建物が無い山の中腹に机を運ばされた。建物はこれから作るようだった。駐車場みたいなその場所に机を運ぶ私。他の人は余裕があるのになぜか私だけ納期に追われていて、移転は捗らない、納期も間に合わない。そんな絶望的な状況下で月曜の朝を迎えてしまった。雨で早朝マラソンもできず。
23時まで仕事して帰り1時に寝た。今度は出張準備の夢を見た。出張は慣れているので粛々と準備を進めたのだが、様子がいつもと違った。私より前の便の飛行機で何人か先に行くことになったらしく、沢山の知り合いが周りに集まってくる。大学時代の後輩、前の職場の東大出身の受付嬢、そんな人たちがやってきて「出張だ出張だ」とはしゃいでいる。出張経験者の私は監督責任があり彼らにいろいろアドバイスするのだが、彼らははしゃいでいて聞く耳を持たない。くそう、出張は旅行じゃないんだぞ。そんな気持ちをぐっとこらえる。フライトが朝早いのでけんたまさんの家に皆で泊まることになった。行ってみるとけんたまさんの家は薄暗く、畳の部屋が二つがらんとしているばかりだった。けんたまさんは一人で暮らしていた。それでも新参者の出張者たちは底抜けに明るくはしゃいでいる。私は出張前だと言うのにやはり納期に追われていて、ゲンナリしていたら目が覚めた。朝6時。今日も仕事に行かなくちゃ。
今日も遅くなりそうである。生きるということはかように厳しい。でも私は働いて銭を稼ぐ、時々訪れる至福のひと時を心に抱き。なんつって。